少し愛して、長く愛して

「少し愛して、長く愛して」

世代にもよるとは思いますが、このタイトルでピンときた方は少なくはないと思います。
故大原麗子によるサントリーウイスキーREDのCMキャッチ。

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今もってなお美しい・・・

このキャッチは必ずしもCMの為に作られたオリジナルと言う訳ではないといいます。
というのもイギリスの16世紀中頃のことわざに

「Love me little (and) love me long.」

というものがあり、その逸話は
プラトンの『饗宴』による「愛」の誕生の次第はこう。ヴィーナス誕生の祝宴において、富裕の神ポロスは神酒ネクターに酔って寝込んでしまう。そこに来合わせた貧困の女神ペニアは、自分が貧乏であることを思うにつけてもポロスのような富裕な子をもうけたいと思い、同衾し、身ごもり、子供を産む。それがエロス(愛)である。

この神話が象徴的に物語っているように、愛の真相は自己の欠乏を補おうとする欲求である。したがって、自分の貧困を満たそうとする二人の者が相惹きあって恋愛となり、夫婦の愛となる。

この欠乏性、貧困性を充足しようとする衝動は貪る形をとることが多い。その貪りが激しく、かつ満足が急激であればあるほど、飽きも急激にやってくる。

男女の、特に夫婦の愛においては、その本質である欠乏性の充足を少しずつ制御しながら行ってゆくのが、長い人生をおくる秘訣である

横道に逸れましたが、なぜこのような話になったかというと、私が長く愛してやまぬ名靴「keen JASPER Trail」のソールがついにすり切れてしまった時の事です。妻と散歩に出かけた河川敷の芝生で「その時」を知りました。私は軽いアウトドアにもタウンユースにも絶妙な履き心地のこの靴を愛するあまり酷使しすぎてしまったというわけです。

頭の中で反芻したのがこのキャッチフレーズ
「少し愛して、長く愛して」
ところが
「激しく愛して、短く愛するハメに・・・」
という結果になってしまったわけでして・・・好きだからといってもバランスを考えるべきだと反省しきりでした。

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この洗練されたシルエットがよいです 笑

ゴム底をソール全体にフィットさせる構造のこの靴の修理は難しかろうと思いながら、私は早速Keen Japanさんにメールを出しましたが、送信から5分後には返信があり、しょんぼりしていた僕を良い意味で更にしょんぼりさせてくれました。
想定していた通り、出来たとしても部分補修だとのこと。泣かせてくれるのは

「ご迷惑とご不便をお掛けして申し訳ありません。そして、そこまで愛用下さってありがとうございます」

という一文が入っていた事でした。
メーカーにここまで愛される靴を、お気に入りにしていた私はとても幸せ者で、こんな心のこもったメッセージを送られると、これからも大事に付き合ってゆきたいブランドだな・・・と未熟な私は思うのでした。そして近々この名靴は梱包されます。蘇る為に。

Written by Yuichi Seshimo STAGEWORKS.Inc


 

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