とある若者の将来は。

息抜きにお茶を飲みに出た。
背後の六人がけの座席には若手のサラリーマンらしき面々。

かなりエキサイトしているので聞きたくなくとも会話が耳に入ってくる。要約すると上司の営業方針が怠惰で、日和見で、クライアントに対して不誠実であり、その不満に対して異議を申し立てるか否かを議論しているようだ。

ただ、メンバーの中には消極的なメンバーもいるようで、なかなかまとまらない。

時間の経過とともに解決するのでは?
一足飛びに本部長に直訴するか?
リークされて解雇なんて事にならないか??

ふむふむ、自分にも経験があるので他人事の様には思えなくなって来た。。。
煮え切らないメンバーに対していささか古臭い、いや、クラシックな台詞を吐いた若者がいた。

『おとことはしんぎのばんぺいじゃないのか!!』

さすがに、僕自身もドキッとする。
(ほぉ、そんな名言を知っている若者もいるのか)

情熱にまかせて感情的になる人は好きだ。
けれど、残念ながらメンバーが打算で判断をする人が多かった時点で、その情熱は空振りに終っていたのだ。ある人は心証を悪くする事を恐れ、ある人はそこまで上司に不満を持っていない。そんなメンバーがひとつの決断などできるはずもないと思いながら聞いていた。

ちなみに彼の台詞のオリジナルは正しくはこう。

『武門とは信義の番兵である』

加賀百万石の藩祖である前田利家の名言だ。
好き放題に振る舞う豊臣秀吉を諌める際に言ったという。

前田利家の活躍した16世紀の日本は、現代の日本ほど価値観の枝葉はそう多くはなかったし、身分によって教育方針もシンプルで多彩ではなかった。だからこそ、この台詞は時の世の人々の魂に響いたのだと思う。

今日の若者が生きる世は、十人十色の価値観と様々な立場も様々。だから、その後一時間の激論でも答えは出ず、魂を揺さぶる事はできなかった。

本人は忸怩たる思いであろうが心配はない。
その台詞には続きがある。

『人の生涯は心に富を蓄えるためにある。』

利家はその名声に違わぬ偉丈夫で、主君である秀吉以上に人望があったと言われる。今日の若者はどこかで聞いた利家の台詞に好感を持ったのだろう。その心があれば、いつかきっと心豊かな人物になるだろう。と、サンダル履きの僕は思った。

Written by Yuichi Seshimo STAGEWORKS.inc


 

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