リノベーション済み物件はない。

「リノベーション済み物件があれば紹介してください」

最近、僕たちにそんな問い合わせが来る。STAGEWORKSがどんな会社なのかも調べぬまま片っ端から電話営業を掛けているのだと思うのですが、「リノベーション済み物件」ってそもそもなんだ?

「上質な物件管理のご提案ですか?」

敢えて意地悪な質問をしてみる。

一瞬の間をおいて、顔も知らぬ受話器の向こう側の人はこう続ける。「弊社はデザイナーズ物件を嗜好される方向けに積極的に情報発信を行っており、そういった方々に御社のリノベーション済み物件をいち早くお届けする業務を行っており云々かんぬん。。。」

もう滅茶苦茶だ。

これから売りだそうって物件がリノベーション済みなんてそもそも存在しない。リノベーションなんてカタカナにするから解りにくいだけで本来は【Re-Innovation】。それまでの空間の在り方に別れを告げて、新たな住み人のスタイルで生まれ変わらせること。間取りも、設備も、テイストまでもイノベーションし直すことだけを指す。クロスを張り替えて、水周りを一新させたところでそれは単なるリフォーム【Re-form】。仮に間取りから考えなおしましたよって言われても同じこと。なぜなら住み人が参加していないのだから。

僕が住んでいるマンションも築16年目になり、住人も入れ替わる時期。週末になるとオープンハウスの案内がエントランス前に立つ。そこにも「リノベーション済み!」の文字が。間取り図面は新築当時の間取りのままだ。リノベーションとリフォームの差もわからずに流行の言葉として使っているならお粗末だし、Beforeがどうであったかわからない見学者に対しても不誠実な案内ではないかな。ちなみに当たり前の話ではあるけれどリノベーションにしてもリフォームにしても「済み」というものはお得でもなんでもない。工事費用は販売価格にしっかりと上乗せされているものなのだから。どうせやるなら「上乗せ」されるまえの金額で購入し、デザインも価格も自分たちで納得しながらやればいい。

「デザイナーズ」だって同じ。「デザイナーズマンション」なんて売り出し方をしても「誰がデザインした」まで書いてあるものは皆無だ。リフォームにしてもリノベーションにしても厳密に言えば素人でも請け負える。建築士の資格を必要とするのは「増改築や大規模リフォーム」とされていて、そのうちさらに「物件の高さが13メートルを声、軒の高さが9メートルを超えている、木造住宅で延床面積が100平米以上、木造以外の住宅なら30平米以上、物件が3階建て以上」と定められているのが現状。つまり「名無しのデザイナー」であるならば「君がデザイナーってことで」のひとことで「デザイナーズ」なんて成り立ってしまうということもありうるということなのだ。

 

 

マーケットに新しい潮流が生まれれば、安易にその波に乗ろうとする粗末なビジネスが生まれることは、どんなマーケットでも同じ。違法なことではなくても、お粗末なことには変わりはない。

Posted by Yuichi Seshimo STAGEWORKS.inc


 

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