和風ではなく和室を。

私の実家は夏暑く、冬寒い。

次男坊である私の父が若かりし頃に建てた家。
築年数は35年くらいは経つ。

故郷である群馬県は関東平野の最北に位置している。
「赤城の山も今宵限り・・・」
国定忠次のくだりで有名な赤城山から吹き下ろす北風は「からっ風」の異名を持つ厳しさがある。
その強さと言ったら、真北にある高校への通学時間が帰宅時間の倍になる程だ。

この家を離れて21年になるが、当時は暑さも寒さも違和感はなかった。私が上京して以降、所々両親が手を加え改善しているといっても古さは否めない。予算と当時の設備水準を考えれば仕方のない事であったとは思うが、ボロい。
それでも、紛れも無く18歳まで暮らした「実家」なのだ。

実家の中で気に入っているのが、南に面したこの部屋。
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純和室のこの部屋は本来は客間であるが、シンプルな造りは木曽路の旅籠のようなこの部屋は日本人なら誰もが落ち着くような雰囲気がある。

ちなみに暖房設備はない。恐らくは断熱材も満足に使われていないであろう実家の中で、陽の光を一番取り入れる事ができる部屋なので、暖かい。

和室は実は奥が深い。なぜなら、日本人独特の美的感覚から、採光や窓からの眺めまで、自然との調和を求められるからだ。マンションの一室を「無理矢理」和室にしているのを目にするが、和室ではなく「和風」になってしまっている設計が実に多い。単に畳と襖を設けてそれで「和室」と名乗っているだけではなかろうか。

住まいをイメージするうえで「和室」にウェイトを置かれる場合には、建築家の和室に対するスタンスをそれとなく聞いてみるとよいと思う。和室に対する知識や経験はデザインする上で格段の差が出てくるものです。「和風」の住まいにしてしまわない意味でもとても大切なことと言えるでしょう。

Written by Yuichi Seshimo STAGEWORKS.inc


 

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