築年数へのこだわりは必要か

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日本人の新築物件や築年数のこだわりは欧米のそれと比べれば驚異的な傾向であることは先日のコラムでも投稿しました。今回は築年数へのこだわりに関して、少し意地悪な視点でこの傾向をみてみましょう。

日本における建築基準法は改正を重ねてきましたが、中でも大きな転機を迎えたのは昭和56年(1981年)の改正です。この時は大正13年(1924年)以来、実に57年ぶりの大規模改正となりました。平成7年(1995年)の阪神大震災では昭和56年以降の建築物で地震そのもので倒壊した建物はないと言われています。大規模な法改正は平成12年(2000年)にも行われています。この改正は先の阪神大震災の教訓を得ての改正の側面が強くなっています。ちなみに某一級建築士とデベロッパーが引き起こした「構造診断書偽造事件」を受けて改正されたのは建築の基準というものではなく、そこに携わる国家資格保有者の監理や責任に関する側面が強い法改正なので、少し要素は違ってきます。

これらの法改正から導きだされるものは何か。阪神大震災級の地震の際の倒壊や損壊のリスクを考えるならば昭和56年以降、つまり築32年以内の建築物が良で、平成12年以降の建築物が優と言えるのではないでしょうか。ただ、見た目や経年劣化を考えた場合は。。。これは個々の問題でしょう。

現代においてはマンションなどを中心に日本も欧米も鉄筋コンクリートが主流になっているということを冷静に考えれば、その差は木造建築という文化を歩んで来た日本と違い、欧米人が築年数にあまりこだわらないのは彼らが石造建築という文化を歩んできたという背景も一因かもしれません。

築年数をこだわることは間違いではありませんが、なぜこだわるのかを明確にしないといたずらに選択肢の幅を狭めてしまう事にもなりかねません。

写真は私の故郷である群馬県の県庁前にある群馬会館で、昭和5年(1930年)に建築された石造りの洋館です。築83年のこの洋館は今でも現役で、多目的ホールから、洋食レストラン、床屋、サロンなどがあります。このような重厚な建築物は例外かもしれませんが、築年数だけで判断する必要はないということが伝わったら、と願います。


 

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